ワイン

ブルゴーニュの魅力

世界のワインラヴァーを魅了するワイン産地の一つ、フランス・ブルゴーニュ。

ボルドーと並んでワイン大国フランスを代表する地方だが、最北部に位置するのは世界的にも人気のある白ワインの産地として名高いシャブリ地区、南にはボジョレー・ヌーヴォーで有名なボジョレー地区があり、南北に長く広がる地方です。

同じ銘醸地であるボルドーとの違いと言えば、一部の例外はあるものの、ほとんどのブルゴーニュワインは「単一品種(モノ・セパージュ)」でワインを醸造する、という特徴があります。

そしてブルゴーニュは〝神に愛された土地〟と呼ばれ、世界一高貴な品種と言われるピノ・ノワールの聖地として知られていますが、その他には赤ワイン用のガメイ(ボジョレー・ヌーボーで使用されるブドウ)、白ワイン用のシャルドネやアリゴテなどが主な栽培品種です。

その魅力的な土地であるブルゴーニュですが、大きく分けると6つの地区があり、冒頭で説明のとおり南北に長い分それぞれのエリアの特徴にも違いがありますので、今回はそれらを北から順番に簡単にご紹介させていただこうと思います。

6つの地区とそれぞれの特徴

・シャブリ地区

ブルゴーニュ地方の最北部にあり、シャンパーニュ地方にも近く冷涼な気候の土地です。

「キンメリジャン」と呼ばれる貝殻などの化石が露出した、石灰岩と泥灰岩が混在した土壌から作られるシャルドネで、豊富な酸とミネラルを含んだ辛口の白ワインが生産されます。

樽を使わずにステンレスタンクなどで発酵・熟成させる生産者が多く、とてもシャープな酸を持つワインは世界的に有名で人気があり、7つの特級畑で造られたワインでも、コート・ドールの格付けされたワインよりは、比較的に安価で手に入れやすいので喜ばれています。

・コート・ド・ニュイ地区

ブルゴーニュ地方でも、最高峰のワインを生み出す産地「コート・ドール(黄金の丘陵)」の北部に位置する地区で、世界最高のピノ・ノワールの銘醸畑がひしめきあっており、ここが誰しもが聞いたことのあるであろうロマネ・コンティなどの最高級ワインの生産地です。

ブルゴーニュの中でも最も重要な地区ですので少し細かいところまで触れると、この地区には下記の8つのA.O.C.(原産地統制呼称の略で、厳しく管理、統制されたワインの格付けで最高級の位置付け)があり、そこには24ものグラン・クリュ(特級畑)が存在します。

  • マルサネ
  • フィサン
  • モレ・サン・ドニ
  • ジュヴレ・シャンベルタン
  • シャンボール・ミュジニー
  • ヴージョ
  • ヴォーヌ・ロマネ
  • ニュイ・サン・ジョルジュ

この最高峰のワインを生み出す産地の中でも、「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」の畑があるヴォーヌ・ロマネ村は、ブルゴーニュ全体のわずか2%ほどのエリアで、さらにその中の1.6haほどの小さな畑から年間6,000本前後の希少な〝ロマネ・コンティ〟が生み出されます。

品質もさることながら希少性も相まって、オフヴィンテージでも1本100万円は下らず、グレートヴィンテージの物ともなると、300万円ほどの値が付くこともあります!(‘Д’)

・コート・ド・ボーヌ地区

「コート・ドール」の南半分を構成するこちらの地区は白ワインの聖地と言われます。

特にムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェという非常に有名な三大銘醸地からは、世界最高峰の白ワインが生み出されています。

同じシャルドネのワインでもシャブリと異なるのは、樽発酵・樽熟成したリッチでボリュームのあるスタイルのワインが多いことです。

新樽を使う事も多く、ナッツやバターのような深いコクを味わえ、何十年も熟成させられる数少ない長期熟成型の白ワインを生み出します。

・コート・シャロネーズ地区

コート・ドールの陰に隠れて少し影が薄めのエリアですが、それだけにリーズナブルなわりに美味しいワインが見つけやすい穴場の産地です。

白ワインの名産地・リュリーや、赤ワインで有名なメルキュレでは長期熟成型のワインも造られ、コストパフォーマンスの高さは世界的に高い評価を受けています。

・マコネ地区

ブルゴーニュ南部に位置しており気候も温暖であるため、また上記の地区とは少し違った上質なシャルドネが生みだされているエリアです。

同じシャルドネでもコート・ドールより熟すため、トロピカルフルーツのような香りも出てきて、より芳醇で丸みのあるボディでしっかりとした味わいのワインに仕上がります。

特に太陽がさんさんと降り注ぐプイィ・フュイッセでは高品質の白ワインが造られており、年々評価を上げていって昨年、22の区画がプルミエ・クリュ(1級畑)に認定されました。

・ボジョレー地区

ワイン初心者でも飲みやすいテイストのボジョレー・ヌーボーで有名な地区ですが、ブルゴーニュ地方の最南端で南仏リヨンの北側に位置します。

その親しみやすさが仇となり軽視されがちな地区ですが、実はピノ・ノワールを思わせるような素晴らしい赤ワインが生産されています。

特に「クリュ・ボジョレー」を名乗れる特定の村のワインは秀逸で、ガメイで造ったワインながら非常にエレガントで、奥深い味わいのワインを楽しんでいただくことが出来るはずです。

まとめ

単一品種から造られるワインばかりとはいえ、その分テロワールや造り手の個性、そしてヴィンテージなどが如実にワインに反映されるため、より奥深い楽しみ方やそれぞれの細やかな特性が千差万別に感じられるブルゴーニュワイン。

ぜひ香り高く繊細な味わいを楽しんでいただくには、グラス部分がふわりと大きく膨らんだブルゴーニュグラスを使ってお楽しみください。

上質なワインは白も赤も、大きめのグラスを活用してまずは視覚から嗅覚、そして味覚から余韻まで、五感を研ぎ澄ましながらゆっくりと楽しんでいただければ、その気品あふれる魅力を存分に堪能する事が出来るはずです。

色々と飲み比べて奥深い違いを感じられるようになれば、その頃にはすでにブルゴーニュワインの魅力(魔力)に取り付かれている事でしょう!