暑さも和らいできたこの季節になると、毎年『今年のボジョレーヌーヴォーの解禁日は11月〇日です!』というフレーズをテレビや雑誌、SNSなどで目にしませんか?
毎年11月の第三木曜日に解禁となり、ワインバーなどでは深夜12時を回った瞬間に、ワインラバーたちが集まって乾杯する光景が、いまや季節の風物詩となっています。
時差の関係で、実は日本は世界のトップバッターとして解禁されるので、世界のニュースでもよく流れたりしています。
このボジョレーヌーヴォー自体を解説する前に、ちょっとおもしろいキャッチコピーの話題から。
毎年大々的に売り出すにあたって、その年々のワインの出来についてキャッチコピーを付けているのですが、何かいつも「今年は当たり年です!」的なイメージがありませんか。
キャッチコピー年表
いやーこう並べてみると矛盾だらけ(笑)
- 1998
「10年に1度の当たり年」 - 1999
「品質は昨年より良い」 - 2000
「出来は上々で申し分ない仕上がり」 - 2001
「ここ10年で最高」 - 2002
「過去10年で最高と言われた2001年を上回る出来栄え」 - 2003
「100年に1度の出来」
「近年にない良い出来栄え」 - 2004
「香りが強く中々の出来栄え」 - 2005
「ここ数年で最高」 - 2006
「昨年同様良い出来栄え」 - 2007
「やわらかく果実味が豊かで上質な味わい」 - 2008
「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」 - 2009
「50年に1度の出来栄え」 - 2010
「2009年と同等の出来」
「昨年並みの仕上がりで、バランスが良い」 - 2011
「2009年より果実味に富んだリッチな味わい」 - 2012
「ボジョレー史上最悪の不作」
「糖度と酸度のバランスが良い」 - 2013
「瑞々しさが感じられる素晴らしい品質」 - 2014
「2009年の50年に一度の出来を超える味わい」
「エレガントで味わい深く、とてもバランスが良い」 - 2015
「今世紀で最高の出来」 - 2016
「エレガントで酸味と果実味のバランスがとれた上品な味わい」
「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい」 - 2018
「2009・2015・2017と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるでしょう」
「理想的な条件の下、素晴らしいヴィンテージへの期待が高まる」 - 2019
「天候などの条件は厳しかったが、有望で生産者のテクニックが重要な年」
「バランスの取れた味で、適度な量と高い品質のワイン」 - 2020
「極めて早い成熟と乾燥した夏による、究極のミレジム(ヴィンテージ)」
「非常にバランスが取れた爽やかさのある仕上がり」 - 2021
「挑戦の末たどり着いた、納得のヌーヴォー」
ボジョレーヌーボーのキャッチコピーは販売促進の為とはいえ、並べるとやはり酷いですね( ;∀;)
売り上げに直結するだけに当然高評価ばかりなので、真に受けないようにお気を付けください(笑)
因みにこれらのキャッチコピーは、ボジョレーワイン委員会の評価をもとに、フランス食品振興会が発表したものを和訳し、さらにそれを日本の業者がアレンジして付けられています。
〝ボジョレー・ヌーヴォー〟ってどんなワイン?
そもそもボジョレヌーヴォーとは、フランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区のワインで、ヌーヴォーとはフランス語で「新しいもの」という意味なので、その年に収穫されたブドウのみを使って作られる新酒のワインの事を指します。
味わいはとても軽快で、新酒なだけあってまさに「フレッシュ&フルーティー」
ボジョレーヌーヴォーに使用されるブドウは「ガメイ」という品種で、渋みが少なくチェリーやイチゴのようなもぎたてフレッシュな赤果実の風味が特徴で、赤ワインが苦手な方でも飲みやすいテイストになっています。
なぜ解禁日が決まっているのかというと、ヌーヴォー人気に火が付き始めたころに、我先にと早く売り出してしまおうとする業者が多発して、質の悪いワインも出回る事態となってしまった為、フランス政府が1967年に解禁日を定めました。
その他の新酒をチェック!
もちろんボジョレー以外にも新酒を売り出している地域はありますし、ボジョレーヌーヴォーほどではないにしろ、世界各地でイベントとなっている話題の新酒もありますので、解禁日も含めてチェックしていきます。
・ノヴェッロ(イタリア)
ハロウィン前夜の10月30日に盛り上がるのが、イタリア全土で作られているこちらの新酒。
これはボジョレーヌーボーとは違って品種が限定されていないため、様々な味わいがあります。
・デア・ノイエ(ドイツ)
続いて11月1日にはドイツから。
こちらは赤も白もあり、テイストも甘口・辛口とありますので、色々なタイプの新酒が造られますが、冷涼な産地ですのでフレッシュでミネラる感のある白ワインが多いですね。
品種は様々ですが、飲みやすく仕上がったミュラー・トゥルガウが一番多い印象です。
・山梨ヌーヴォー(日本)
続いては我が国の名産地「山梨」がブランド化を狙い、2008年からスタートしたこちらの新酒で、毎年11月3日に解禁日とされましたが法律で定められているわけではありません。
栽培・収穫・醸造まで、全て山梨で仕上げられたものだけが対象となり、ブドウ品種としては日本固有品種である「甲州」で白ワインを、「マスカット・ベリーA」で赤ワインのフレッシュな新酒が仕上げられます。
・ホイリゲ(オーストリア)
近年は少しずつ耳にするようになってきた、オーストリアの新酒で11月11日に解禁されます。
ここでのホイリゲとは「今年の」という意味で、オーストリア現地では250mlのジョッキでカジュアルに飲まれますが、非常にフレッシュかつチャーミングな香りも楽しめますので、ぜひワイングラスでしっかりと味わいたいものですね。
もうひとつ、ホイリゲには「ワイン酒場」という意味もあって、日本人が馴染み深い「ビストロ」といわれる、カジュアルなフレンチ居酒屋という意味の言葉とほぼ同義です。
・ヴィノ・ヌエボ(スペイン)
こちらはホイリゲと同じく11月11日に解禁されるスペインの新酒で、収穫祭である「サン・マルティンの日」に行われる行事に合わせて、皆で新酒を楽しむ風習が根付いています。
「テンプラニーリョ」や「ガルナッチャ」といった黒ブドウを使う事が多いため、赤ワインが主流となっており、こちらもフレッシュな果実味が特徴的なワインです。
まとめ
毎年出されるキャッチコピーや、世界の新酒など見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
その年のブドウのみで、しかも短期間で造られる新酒たちですので、基本的には渋みが少なくフレッシュな果実感が特徴ですので、ワインを飲み慣れていない人でも充分に楽しめると思いますし、軽やかなタッチは日本料理にも合わせやすいと思いますので、ぜひお試しください。
アルコールも低めですし、ライトな味わいのワインが多いので、赤ワインでも少し冷やしめで楽しんでいただくと、本来のフレッシュな味わいをより感じられると思います。
やはり日本ではボジョレー・ヌーヴォーを手軽に楽しむことができますが、ぜひ今回ご紹介させていただいたその他の国のヌーヴォーも、最近売り始めているところも多くなってきましたので、みんなでワイワイと比較しながら楽しまれるとオモシロいと思いますよ(^_-)-☆